How to enjoy

作品の楽しみ方

こちらのページでは、作品や作者の魅力を最大限に感じ取ることのできる楽しみ方をご紹介いたします
絵画の技法や作品の時代背景、作者の生い立ちなど、作品に対する知識が増えると、作品選びがもっと楽しくなります。
生涯をかけて数多くの作品に携わってきた画廊オーナーならではの着目点で、作品の更なる魅力を感じていただけるでしょう。

Printmaking technique

版画の技法

版画には古くから多くの人々に親しまれてきた歴史があります。
特に20世紀以降は制作部数の限定や番号付け、作家自筆のサインといった形式が確立されたことで油絵や彫刻と同じように唯一無二の作品としての価値をもつようになり、収集家も多くなりました。
油絵や水彩画にしか表現できない特徴があるのと同じように、版画にもその技法でしか表現できない特徴があります。
そのため、多くの画家や彫刻家がその魅力に惹かれ、数々の版画作品を制作してきました。
こちらでは、制作工程や原画の制作意図などによる種類や技法をご紹介いたします。
技法の違いを知ることで、今までとは違った版画作品の楽しみ方ができるかもしれません。

オリジナル版画

多くの種類がある版画作品の中でも、独自性が高いと言われるのがオリジナル版画です。
オリジナル版画は、元々版画にするために作家が絵を描き、制作した作品です。
作家が下絵、版の制作、刷りの工程まですべてに立会い、監修をしています。
さらに完成した作品には番号付けを行い、作品が限定制作であることの証明としています。
シャガール、ピカソ、マチスなどのオリジナル版画は生前から人気が高く、没後も美術品としてオークションなどで高額で取引されることもあります。

エスタンプ版画

エスタンプ版画は、絵画作品をもとに、第三者が版画の技法で制作した作品です。
原画となる絵画作品は、版画にすることを目的とせず制作されており、作家本人もしくは遺族の了承を得た上で制作されます。
エスタンプという言葉はフランス語で「版画」を意味する言葉ですが、日本では「複製」という言葉で使われています。
そのため現在は「エスタンプ版画=複製版画」と認知されています。
しかし「複製」という意味はあるものの、原画を忠実に再現し、本人や遺族の了承を得て制作されているため、決してコピー品ではありません。
版画作品としては、どこまでもオリジナルの一枚です。

版画の技法

凸版

凸版は、日本でもっともメジャーな方法と言われる技法で、描画したい部分を残して版を彫り、インクをローラーなどで付着させ、バレンやプレスで押し付けて紙に写し取ります。
木版画や消しゴムはんこ、芋判も凸版のひとつで、小学校の授業などで馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
「浮世絵」は凸版版画の代表ともいえる存在で、色ごとに作られた複数の木版を刷り重ねることで、色彩豊かな作品を作り上げています。

凹版

凹版は凸版とは逆に、描画したい部分を彫って版を作ります。
版上の溝(凹部)にインクを詰め、紙の上から圧力をかけることで、凹部のインクを刷り取ります。
インクを付けたらそのまま擦る凸版とは違い、凸部のインクを拭き取るというひと手間がかかりますが、凸版に比べ細い線を描画することができるため、より繊細な表現が可能です。
日本の浮世絵には凸版が用いられていたのに対し、西洋絵画では銅板を用いた凹版が主流でした。
デューラー、レンブラントといった古典的作品が有名ですが、近現代でも、多くの作品が生み出されています。

平版

平版は、平らな板にリトクレヨンなどの油性分を含んだ材料で描画し、化学的な製版処理をして印刷します。
もともとは石板を使用していたことから、ギリシャ語で「石」を意味する「リトグラフ」と呼ばれています。凸版・凹版と比べるとリトグラフの歴史は浅く、18世紀末に原理が発見され、19世紀にヨーロッパを中心に技法が広がりました。
非常に複雑で時間のかかる技法ですが、描画した物がそのまま版になるため、凸版や凹版ではできなかった風合い、線の強弱、にじみなどの表現を可能にしました。
ピカソ、シャガール、マチスなどがこの技法を好んで多くの作品を制作しました。

孔版

孔版は、版に孔(あな)を彫る製版方法です。
紙の上に版を重ね、その上からインクをローラーなどで圧をかけて紙に写します。
そのため、原画が左右反転しないという特徴があります。
また、刷る際に高い圧力を加える必要がなく、たくさんの版やインクを重ねたり、グラデーションを表現することもできます。
絹やナイロンを張った木枠を使用する「シルクスクリーン」やトレーシングペーパーなどを切り抜き版を制作する「ステンシル」などがよく知られています。